妻と子どもと親友に贈る手紙集 S・A氏

プロフィール

運送、小売など多様な仕事を経験した後、22歳の時に食品開発の世界へ。ある上司との出会いを機に本腰を入れることを決め、約8年にわたり数々の現場で修業を積む。現在は兵庫県を中心に大阪府・岐阜県など広範囲で質の高い食の提供している。

1.妻へ

親愛なる(たぶん少し呆れてる)妻へ

まずはひと言…
「よくこんな適当男と50年も付き合ってくれました!」

結婚したばっかりの頃は、朝から「醤油どこ?」って探し回って怒られて、夜は寝ぼけて冷蔵庫開けて靴下入れそうになって怒られて。思い返せば、君に怒られなかった日は多分3日くらいしかなかった気がします。

でも不思議だよね、君の小言は耳が痛いはずなのに、聞かないとそわそわする。
あれは多分、愛ってやつなんじゃないかな(…え?違う?)。

君が風邪ひいた日、俺が作った謎の雑炊。
君は涙目で「これは…雑炊…なの?」って言ってたけど、あれでも心を込めたんだよ。ごめん、あれ以来はレトルトに頼ってる。

子どもたちが巣立って、2人きりになって、最近はちょっと会話も減ったかな。でも君の寝顔を見ながら、「やっぱ俺にはこの人だなぁ」ってしみじみ思うんだ。

これからもよろしく。
ボケ倒す俺を、ずっとツッコミ続けてくれ。

PS. たまには君からボケてくれてもいいんだよ?(そしたら俺が突っ込むから!)


2.子どもたちへ

愛しの子どもたちへ

お父さんは、君たちが小さい頃からずっと「頼りにならないかもだけど、なんか憎めない」そんなポジションを狙ってきました。

だってさ、運動会で君たちより張り切って、全力で転んでヒザ擦りむいて、帰り道にコンビニで自分用にアイス買って怒られたお父さんだよ?

学校の宿題も、分からない問題が出ると「うーん、これはきっと先生が間違ってるな!」って言って逃げた。
君たちに「違うやろ!」って総ツッコミされるまでがセット。

思春期にはあんまり話してくれなくなって、ちょっと寂しかったよ。
でもあの頃の君たちはきっと、友達や恋や部活で忙しかったんだろうな。

これから先、社会に出ていろいろ大変なこともあると思う。
でも忘れないでほしいのは、お父さんはいつでも君たちの一番のファンってこと。

困ったときは相談しにおいで。きっと的外れなアドバイスをするから、笑って元気出るはず。

PS. ちなみにお父さんのLINEスタンプはいつでも既読スルーOK。でもたまには返事くれたら泣いて喜びます。


3. 友人へ

親愛なる友へ

気づけばあれからもう何十年。
君と一緒にバカみたいに深夜まで語り合ったコンビニの駐車場、覚えてる?

お互い彼女にフラれた夜に「もう恋なんてしない!」って酔っ払って、翌週には別の子に告白して玉砕してた俺たち。あれ、今思い出してもお腹痛いわ。

社会に出てからは忙しくて、会うのは年に数回になっちゃったけど、そのたびに何も変わらずゲラゲラ笑えるのは、他にはない宝物だと思ってる。

これからも何かと集まっては、つまらん自慢話や昔の失敗話で盛り上がろうや。
俺がハゲたら笑ってくれ。君が太ったら俺も全力で笑う。
でもお互い病気になったら、そん時は笑わずにちゃんと心配するから。

そういう関係でいさせてくれな。

PS. まだ一緒に富士山登る夢、忘れてないぞ。膝痛いけど。

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